「………おい、由良?」
「………あっ、は、はい……!! な、なんですか……? 蓮さん」
蓮さんに肩を揺らされ、私はハッと意識を現実に引き戻した。
「なんか、さっきからずっとぼーっとしてただろ」
「あ、いや………えーと、実は昨日、ちょっと夜遅くまでゲームをしちゃって、寝不足で……!」
「そうか……?」
「はい! なので、全然気にしないでください……!!」
私はいつもの気弱なモブ男子の笑顔を無理やり張り付ける。
……だけど、蓮さんは納得がいかないように、その深緑色の瞳を細めて私をじっと見つめてきた。
「…………お前、本当にそれだけか?」
──その時だった。
蓮さんが核心に触れる何かを言いかけた、まさにその刹那。
静まり返っていた屋上の重苦しい空気を鋭く切り裂くように、女子特有の甲高い叫び声が響き渡った。
「蓮くんっ!!!!」
「…………桃華?」
───桃華(ももか)。
その名が蓮さんの口から溢れた瞬間、私の脳内データが一瞬でリンクした。



