君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~



「それに、今は……………」


ぽつりとつぶやいた由良。



そんな由良をジッと男が見つめる。

特に追い打ちもせず、ただ小さく息を吐いて、肩をすくめる。




「…………そっか」


返した言葉はそれだけだった。

そしてすぐに、いつもの軽い調子に戻る。





「でもさ〜、あの頃のキミたち、ほんとバカだったよね。五人でさ」

「……バカって言わないで」



由良が小さく返す。

その声に、ほんの少しだけ昔の色が混じる。



男は笑った。



「いや事実でしょ、“保護者会”とか呼ばれてた時点でさぁ。なんかもう、名前からバカっぽい」


その名前が出た瞬間、由良のまぶたがわずかに揺れる。
でも、それ以上は何も言わなかった。



ただ、ほんの少しだけ遠くを見るように視線を落とす。

戻りたい、とはもう言わない。


………けれど、完全に否定することもできない顔だった。


「他にちゃんとした呼び方あるし。……それに、その名前で呼んでるのは湊(みなと)とナツさんくらいだよ。」