この両腕の中に容易く収まってしまうほどの、あまりにも儚くて小さな命。
俺の着ている特攻服の生地が、由良の流す温かい涙でじわじわと濡れて重くなっていく。
だけど、その冷たい夜風の中で感じる確かな湿り気さえも、今の俺にとっては、どんな輝かしい勲章なんかよりも誇らしいものに思えていた。
”愛おしい”
………そんな名前も付けられない熱い感情は、今はまだ、胸の奥底へと深く深くしまって。
こいつが男だとか、男じゃないとか………そんな理屈も一旦置いておいて。
俺に向けられた由良の真っ直ぐな信頼も、俺を離さないようにと縋りついてくるその細い手も、そのすべてを俺の身体丸ごとで受け止めるから。
今は、今だけは─────お前を────……俺だけのものにさせてくれ。
「もう大丈夫だ」
凍える夜風を遮るように、俺は由良の小さな頭をその手のひらでそっと包み込んだ。
遠くで静かに回り続ける灯台の光が、泣き続ける俺たちの影を、どこまでも優しく照らし出していた────……。



