君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




「わ、わた、私……っ…」



もう、どうしていいかわからなかった。




紘を裏切ってしまった罪悪感と。

蓮さんという、住む世界が違う人に恋をしてしまったという、どうしようもない事実。



罪悪感も、不安も、戸惑いも。


全部がぐちゃぐちゃになって、視界がにじんだ。









「………ぅ、ふ、……うぅ……」


何か言葉を紡ごうとしても、出てくるのは嗚咽ばかり。





「────」


────そんな私を、不意にふわりと、安心するぬくもりが包み込んだ。




「…………由、良……」


────いつも、そうだ。



いつも、由良は。

私がこうして泣いているとき、何も聞かずに抱きしめてくれる。


自分だって、きっと泣きたいはずなのに。

いつも、私を優先してくれる。




きっと今だって。


────"そんな何処の馬の骨かもわからない奴なんかより、紘にしてほしかった"って。


そう、思ってるんだよね。



だけど、由良は優しいから。

決して私を責めるようなことは言わない。




「────俺は、さ」



────それに。
私も私で、それを咎められない。



「由衣が笑えるなら、それでいいから」



どこか、甘えているんだと思う。
双子として、唯一無二の片割れとして。

お互いに、一緒離れられない相手として。




「たとえ、それがどんな茨の道でも。……俺は、由衣の気持ちを尊重するよ」



困ったように眉を下げて笑う由良に、ドクンと胸が音を立てた。



────ああ、やっぱり。

やっぱり、私"も"由良がいないとダメみたい。








────ねぇ由良。


────さっきは、"双子失格"なんて言ってしまったけれど。


私、この世界に生まれて……由良の双子になれて、よかったよ──…






「あり、がとう────……」