だから、俺は───これからは、他の誰でもない、お前のためだけにこの力を使う。
声には出さないけれど、胸の奥底でその確固たる言葉が静かに、けれど二度と覆らない形となって刻まれていく。
もちろん、これまで桃華に返すべき数々の恩義を、完全に忘れてしまったわけじゃない。
これまで自分の命と同等に背負ってきた“月華”という大きな看板を、今すぐ無責任に捨てるつもりもない。
……だけど、それでも。
今この瞬間だけは、理屈よりも先に魂が叫んでいた。
目の前で今にもバラバラに壊れてしまいそうなほどに震えている、この愛おしい存在を何があっても守り抜け、と。
世界の何よりも、誰よりも、最優先にしてお前のすべてを捧げろ、と。
「由良。……お前は、これから俺が絶対に守るから───」
その誓いの言葉をはっきりと口にした瞬間、自分の中で何かが決定的に変わる音がした。
お前はもう、そんな顔しなくていい。
忌まわしい過去のつらい記憶なんて全部俺が忘れさせてやるから、ただ、何も考えずに俺の隣で笑っていればいい。
もう二度と。
あの日のお前を縛りつける引き金の音に怯える必要なんてない。
大切な人の血に染まった、あの日の残酷な海を見つめ返す必要だってないんだ。



