『それはもう、恋でしょ』
ドクン――。
心臓が大きく脈打った。
次の瞬間には、耳の奥までその音が響いて、息がうまくできなくなる。
……違う。
そんなはず、ない。
だって私は――。
一生、紘だけを見て生きていくって。
いつかきっと、紘を好きになるって。
そう、約束した。
あの日、あの人と。
誰より大切な人と。
………なのに。
私は今、別の人を想っている。
約束を、破った。
紘を裏切った。
大切な人を、傷つけるようなことをした。
”裏切り”
それは、この世で一番許せないもの。
仲間を裏切ること。
幼なじみを裏切ること。
“かぞく”を裏切ること。
そんなこと、この世界では絶対にあってはいけない。
この世界に生きる誰よりも誰よりも。
その悲しみと、重さを知っているはずなのに。
それなのに――……
私の胸は、あの人を想うたびに苦しくなる。
優しく笑う顔も。
ぶっきらぼうな声も。
何気なく触れられた温もりも。
忘れようとしても、忘れられない。
───認めたくないのに。
認めてしまったら、もう戻れないのに。
「っ……」
ヒュッ、と喉の奥から掠れた音が漏れる。
息が苦しい。胸が、痛い。
それでも、もう気づいてしまった。
私は――───……
蓮さんのことが、
好き、なんだ────………



