「とく、べつ……?」
───由良の言葉が、頭の中で何度もリフレインする。
───特別な、男の人。
蓮さん、が………?
私が……俺様で、戦うことにしか頭がないあの人の前で、そんな顔をしてる……?
「な、何言ってるの。そんなわけ───」
動揺を隠したくて、頬にある由良の手を振り払おうとした。
───だけど、由良はその手にすっと力を込めて、私を逃がしてくれない。
じっと見つめてくる茶色の瞳は、どこまでも真剣で。───からかっている色なんて、どこにもなかった。
「……由衣、まだ気づいてないの?」
「え……?」
耳元で、由良の低くて、どこか苦々しい声が鼓膜を震わせる。
「俺、その蓮って奴のこと、会ったこともないし、話に聞いただけで何も知らないよ」
「……っ、」
「でも。………その名前を出しただけで、由衣、今までに見たことないくらい赤くなって、必死に隠そうとしてる。」
一言、一言、紡がれる言葉が、私の胸に容赦なく突き刺さる。
脳裏に浮かぶのは、あの人の不敵な笑顔。
強引なのに優しい、あの大きな手。
───思い出すだけで、本当に胸の奥がぎゅっと苦しくなる。
「……正直、俺たち以外の男にそんな顔させられてんのはムカつくけど。」
少しだけ不機嫌そうに目を細めて、由良がトドメを刺すように呟いた。
「それはもう、恋でしょ───」
───ドクン、と。
今までにないくらい心臓が大きな音を立てた。



