君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

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「……すみません、取り乱しちゃって」

「いや、別に気にしてねぇよ………」


気まずそうに下を向いた由良の、その伏せられた瞼。

長い睫毛が夜の月光をきれいに拾い上げて、淡く白く光っている。


所在なさげに小さく揺れる細い指先、その仕草のひとつひとつが、今の俺にはやけに目について離れなくなっていた。




……こんなの、ずるいだろ。

胸の奥が、さっきからずっと落ち着かない。
熱が引くどころか、むしろ一方的に増していくみたいだった。


けれど、そんな沸き立つ熱の奥で、現実だけがやけに冷たく俺の頭に刺さってくる。



「なんで私がああなっちゃったか、気になりますよね。……もしよかったら、ちょっとだけ話を聞いてもらえますか?」

「……ああ」


返事をした声が、まるで自分のものじゃないみたいに重い。



(……コイツは男、だ)

残された理性が、耳の奥で何度も呪文のようにその言葉を繰り返す。



どれだけ見た目が綺麗でも、どれだけその体が柔らかく見えても。

どれだけ今、俺の目の前で消えてしまいそうなほどの弱さを見せていたとしても。