どうにか気持ちを落ち着けようと、みどりは話題を変えるように言った。
「じゃあ、卵焼くとこ見てて。ここは焦がさないように注意ね」
「うん、ちゃんと見る」
でも、“見る”という言葉とは裏腹に、
蓮はまた後ろからそっと腕を回し、ぴたりと体を寄せてきた。
「ねぇ……そんなにくっつく必要ある?」
みどりが振り返らずに言うと、蓮は小さく笑った。
「今しか、こんなにくっつけないでしょう?」
――そんなの、ずるい。
胸の奥が、熱くなる。
それは湯気でも、コンロの火でもなくて。
たぶん、彼の声と体温が溶けて、心の奥に広がった“熱”だった。
「……ほら、焦げちゃうよ」
蓮の笑い混じりの声に、みどりの肩がびくりと揺れる。
「も、もう……そんなに近くで言わないで」
ツンとした声を出したつもりだったのに、
語尾が少しだけ震えてしまう。
蓮は悪びれもせず、柔らかく笑った。
「だって、ちゃんと見てって言うから」
「……近すぎるの」
「そうかな。僕は、これくらいが好き」
そんなこと、さらっと言わないで。
心臓が、コンロの火よりも熱くなる。
「じゃあ、卵焼くとこ見てて。ここは焦がさないように注意ね」
「うん、ちゃんと見る」
でも、“見る”という言葉とは裏腹に、
蓮はまた後ろからそっと腕を回し、ぴたりと体を寄せてきた。
「ねぇ……そんなにくっつく必要ある?」
みどりが振り返らずに言うと、蓮は小さく笑った。
「今しか、こんなにくっつけないでしょう?」
――そんなの、ずるい。
胸の奥が、熱くなる。
それは湯気でも、コンロの火でもなくて。
たぶん、彼の声と体温が溶けて、心の奥に広がった“熱”だった。
「……ほら、焦げちゃうよ」
蓮の笑い混じりの声に、みどりの肩がびくりと揺れる。
「も、もう……そんなに近くで言わないで」
ツンとした声を出したつもりだったのに、
語尾が少しだけ震えてしまう。
蓮は悪びれもせず、柔らかく笑った。
「だって、ちゃんと見てって言うから」
「……近すぎるの」
「そうかな。僕は、これくらいが好き」
そんなこと、さらっと言わないで。
心臓が、コンロの火よりも熱くなる。


