終わらない物語を君へ

 週末の昼下がり。

 大学も休みで、カフェの店内は静かだった。
 みどりはカウンターの端に立ち、店長に小声で説明する。

「……あの、ちょっとお願いがあるんですけど」
「どうした? 珍しいね」
 店長はにこやかに答える。

「そこの張り紙……スタッフ募集していますよね? 働きたいって言ってる人がいて……」

 そうして今日のはずだった面接は、ちょっとした“計画”に変わる。

(どうして親戚って嘘つくの?)
 蓮は不思議そうに首をかしげる。
(その方がいいでしょ! さすがに、一緒に住んでるっていうのは…)
 小さく頷き、口裏合わせはバッチリ。
 あとは、蓮がうまく喋れるかどうか――。

 蓮は少し緊張した面持ちで店長の方を見つめる。

「えっと……よろしくお願いします」
 その声は、緊張を感じさせながらも、どこか真っ直ぐで清々しかった。

「……え!?すごいイケメン!うちの看板になるよ!今すぐ働いて!」
 店長は目を輝かせ、半ば冗談めかして笑う。

 そんなこんなで、今日から蓮も働くことになった。

 面接というよりも、思わぬ展開でのアルバイト開始。

 みどりは胸の奥で、小さく笑いながら、これから始まる“二人の日常”を少し楽しみにしていた。