終わらない物語を君へ

 ショッピングモールのフードコート。
 昼どきのざわめきと、ソースの香ばしい匂いが混ざり合っている。

 焼きそば、カレー、ラーメン……。
 漂う匂いの渦の中に立つと、不思議な気持ちになった。

 「みんな、この匂いでお腹がすくんだね」
 思わず口にした蓮の言葉に、みどりが笑った。

 蓮はきょろきょろと辺りを見回していた。
 どの店も看板が色とりどりで、写真の中の料理がこちらを誘惑してくる。

「好きなの選んでいいよ」と、みどりが言った。
「なんでも?」
「うん。食べてみたいの、ある?」

 しばらく悩んだ末に、蓮の視線は一枚の写真に釘づけになった。
 とろりと卵が光り、赤いソースがかけられた黄色いご飯。
 その上には、ケチャップで“にっこり”と笑う顔が描かれていた。

「これ、なんだろう?」
「オムライスだよ。卵の中にケチャップライスが入ってるの」
「……おいしそう」

 その言葉を口にしたとき、蓮の目は少しだけ輝いていた。

「これにする?」
「うん。これ、食べてみたい!」

 トレーを持って席につくと、湯気といっしょに甘い香りが鼻をくすぐる。