終わらない物語を君へ

 朝の光がカーテンの隙間から差し込み、みどりは目を覚ました。

 隣には、ぐっすり眠る蓮。
 昨夜、一緒にベッドで眠ったことがまだ信じられず、胸がじんわりと熱くなる。

(もう、何なんだろう……朝からこんなにドキドキして…先が思いやられる…)

 小さな独り言をつぶやき、みどりは居ても立っても居られず、そっと布団から抜け出した。

 顔を洗いながら、鏡の中の自分を見つめる。
 
(ひどい顔……)

 寝癖を直して、髪を整えて……でも、そこからどうすればいいのかがわからない。

(デート……じゃないけど、でも……一緒に出かけるんだよね?)

 今日は蓮と日用品を買いに行く約束をしていた。

 クローゼットを開けても、あるのは仕事や普段使いの服ばかり。
 特別なお出かけ用の服なんて、持っていない。
 何度も手に取っては戻し、結局、いつものデニムと淡いベージュのニットに落ち着いた。

(……ま、いいか。変に頑張るより、いつもの私で)

 でも、それだけじゃなんだか寂しくて。

 引き出しの奥から、ほとんど使ったことのない色付きのリップを取り出した。

 薄く唇にのせると、ほんのりピンクが差して、鏡の中の自分が少しだけ知らない顔に見えた。

(うん。これくらいなら、いいかも)

 その瞬間、背後から低く落ち着いた声が響いた。