終わらない物語を君へ

 「はいはい。これは?」

 距離は近いままだった。
 みどりは平気なフリをして続けた。

 「これは試験にでるよ」

 それ以上でも、それ以下でもない。
 なのになぜか心臓の音だけが、やけに大きく響いている。

 ——勉強、教えるだけ。それだけ。

 そう自分に言い聞かせていた。

 ——ピロン。

 その時、静かな図書室に、控えめな音が落ちた。

 みどりは一瞬だけ手を止めて、ケータイを見る。

 蓮からだった。

【写真の送り方、覚えた!】

 続けて、画像。

 画面いっぱいに映ったのは、顔の半分だけの自撮り。
 構図も距離感もよく分かっていなくて、少しぶれている。

 思わず、口元が緩んだ。

 さらに、すぐ下に。

【今から初めて一人でバイトだよ!】
【頑張る!】

 短い文。
 でも、伝えたい気持ちがそのまま詰まっている。

 どこにいても、何をしていても、蓮が自分のことを考えていてくれているのだ感じる。