見えない君は大切な人



よくわからない感情が込み上げてきた。


画面の文字が潤んで見えた。


心臓の音がうるさい。何も聞こえないと錯覚するほどに。


【そんなことは、ないよ。蒼真くんは悪くない私が弱かっただけだから】


既読マークがつく。だけどすぐに返信が来るわけではなかった。


少し経って画面が光る。


【何も、覚えてないの?】


何も覚えてないの?その言葉は震えてるようにさえ思えた。


打つ勇気が持てなかった。


口にしてしまえば、彼をもっと傷つけてしまう。


もう一度画面が光る。


【遥。教えて】


ああ。だめだ。叶わない。


「忘れちゃったの。全部」


教えて。その言葉に勝てるわけがなかった。


【だよな】


沈黙が訪れる。


【見えて、ないんだよな】


「うん。見えない、聞こえない」