見えない君は大切な人




「おはよう、藤咲さん。家近いの?」


彼女は少しきょとんとした後はっとしたように笑い。そうだよ。といった。


へえ。と返して住宅街を見回した。


少しこけのついた石垣、青い屋根の家。頭の奥から何かが引っ張り出されそうな、そんな感じがした。


「わあ、ミアちゃんみたい!はるちゃん!」


「はる、ちゃん?」


聞き返すと、しまった、というような顔をした。でもすぐに笑顔になった。


「あ、ごめん。嫌?」


「ううん。いいよ。それよりミアちゃんって……」


「え、ああ。……そう、だった。ミアちゃんはね―――」


ミアちゃんその名前に何故か聞き覚えがあった。


記憶は薄いけどむかし誰かと一緒に見つけてずっとかわいがっていた猫の名前だ。三毛猫で人なつっこくて、