帰り――その言葉が、喉の奥でひっかかった。 私は、この街に初めて来たはずだった。 誰ひとり知り合いはいなかった。 そう信じていた。信じるしかなかった。 でも。 本当は、思い出したくなかっただけなのかもしれない。 ここにいたこと。 誰かと過ごした時間。 そして、忘れてしまったはずの名前。 私は…… 記憶の地図の上に、ぽつんと浮かぶこの場所。