見えない君は大切な人




その夜、私は夢を見た。


水の底に沈んでいくような、どこか冷たく、でも静かな場所。


身体が重くて、思うように動けない。


でも、不思議と恐怖はなかった。


その夢の中で、私は誰かと向き合っていた。


彼は何も言わず、ただじっとこちらを見ている。


顔はぼやけていて、輪郭さえはっきりしないのに、


それが彼であることだけは、どうしても間違えようがなかった。


手には、淡い水色のノートを持っていた。


見覚えがあるような、少し古びた紙質。


表紙には、手書きのタイトルがあったけれど、文字は霞んで読めなかった。


「それ、なに……?」と訊こうとしても、声は出なかった。


口を動かしているはずなのに、泡のように言葉が消えていく。