頭の中が真っ白になる。
思考が追いつかないまま、心だけが何かを先に理解していた。
何か、あったのだ。
私と、白石蒼真のあいだに。
でも私は、それを思い出せない。思い出してはいけない。そんな風に、どこかで閉じたのだ。
私は机の上で、拳を握った。
「ねえ……私、あなたを……」
声に出してみたが、それ以上が出てこなかった。
知らないのではない。
思い出せないのだ。
鍵がかかったように思い出せない。
私はメモをそっと折りたたみ、胸ポケットにしまった。
手が震えていた。
きっと、私は知っていた。
彼の字も、言葉の選び方も、
この優しさも——本当は、全部。
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