けれど、その中に、何かがある気がしてならなかった。
——なぜか、「ここに答えがある」と思った。
机の中に、指先が柔らかい紙の感触をとらえた。
一枚の、小さく折りたたまれたメモ用紙。
そっと引き出す。
何の変哲もない、白い紙。けれど、その紙面には一行だけ、文字が書かれていた。
『きみは忘れてるんだよ』
心臓が、跳ねた。
それは、静かな言葉だった。
責めるようでもなく、許すようでもなく。
ただ事実を、淡々と、穏やかに告げるだけの文字。
でも、その一行が、胸を締めつけた。
「……私が?」
私は、忘れた?
彼を?
私たちのあいだにあった何かを?
なぜ? いつ? 何が?

