どうして、私だけ?
そう問いかけても、答えは返ってこない。
名前も、出席番号も、最近になってようやく意識に引っかかるようになった。
自分でも理由はわからない。けれど、胸の奥のどこかに「知っている」と言い張る声があった。
なのに、顔が思い出せない。
声も、仕草も、感情すら、まるで何一つ残っていない。いや、ただの勘違いかもしれない。
私は机に顔を伏せた。
窓から差し込む夕陽が、机の表面に彼の影を映し出す……なんてことは起きなかった。
ただ、沈黙だけが私の隣で膨らんでいく。
ふと、思いついたように私は顔を上げた。
そして、隣の席の机に手を伸ばす。
誰もいない。いや、もしかしたらいるのかもしれない。そんなのわからない。

