見えない君は大切な人



でも、彼の視線は私の隣に向いている。


——そこには誰かがいるという前提で。


私には、見えないだけ。


声は返ってこなかった。けれど、男子はひとりで笑っていた。


冗談が通じたようなリアクションに、どこか自然な雰囲気すら感じられた。


そして机の上には、いつのまにか教科書がきれいに揃えられていた。


昨日の放課後には何もなかったはずの場所に。


「……私がおかしいのかな」


そう思ってしまうほど、周囲は普通だった。



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