でも、彼の視線は私の隣に向いている。 ——そこには誰かがいるという前提で。 私には、見えないだけ。 声は返ってこなかった。けれど、男子はひとりで笑っていた。 冗談が通じたようなリアクションに、どこか自然な雰囲気すら感じられた。 そして机の上には、いつのまにか教科書がきれいに揃えられていた。 昨日の放課後には何もなかったはずの場所に。 「……私がおかしいのかな」 そう思ってしまうほど、周囲は普通だった。 ***