見上げた星空に、奇跡が降る

     ―オリオンー 

 今日は雲っていて空に星は見えない。
 
 いくら望遠鏡の倍率をあげても、見えるのは雲だけ。

 こんな日もある。

 残念だとは思うけど、こういうのも天体観測の醍醐味。

 毎晩、必ず見れないから、空が晴れ渡った夜には、より真剣になる事が出来る。


 明日もあるから、今日はもういいや……とはならない。


 この言葉はいつも心の中にしまってて、いつでも出せるようにしている。

 「…………」

 僕はパソコンを立ち上げる。

 こういう日にやる事は決まっている。

 ネット上に上がっている、無数の夜空の風景を眺める。そうしてるといつの間にか、

 僕がその空を自分で見た気分になってくる。

 それから自分でSNSに上げた星の観察記録をまとめる。

 その星をネットの詳細を見て、一人でそうだったのかと納得するのが面白い。

 星は無数にある。

 今いる場所からは絶対に見えないものがあるし、いくら凄い望遠鏡でも遠すぎて見えないものもある。

 そんな瞬く星の一つ一つは、ほとんどが太陽より大きい。そしてその星には多くの衛星があったりと……。

 そう考えていくと、自分の存在の、何とちっぽけな事なのだろう……と思い知らされる。「…………ん?」

 メッセージが一件届いていた。

 もしかして……と、開いてみると、やっぱり《迷い猫》さんからだった。


 =こんばんは。先日、メッセージを送った《迷い猫》です。あれから何度もサイトを拝見させていただいています=


 「…………」

 あれからずっと見ていてくれたのか……。

 素直に嬉しいとは思うけど、数字の羅列がほとんどのページの、何が興味を引いたのだろうか? 


 =……ありがとうございます。ここは自分のメモ帖のような所で、特に面白いと思えるようなものはないと思いますが、

 見て頂いて嬉しいです=


 それだけ書いて送信した。