見上げた星空に、奇跡が降る

      ―迷い猫―

 毎晩、星の観測記録が並んでいたページは、空白のまま日付だけが進んでいく。

 最初の一日目は、「忙しい日もあるのかな」くらいにしか思わなかった。

 二日目も、三日目も……最初は軽く考えていたはずなのに、日が経つごとに胸の奥がざわつきはじめた。

 夜になると、無意識にSNSを開いてしまう。

 そこに何も更新されていないことが分かっていながら、確認せずにはいられなかった。

 試しにメッセージを送ってみた。


 =こんばんは。今日は星、見えましたか?=


 送信しても、既読はつかない。

 もう一度だけ……と、別の日にも送ってみた。


 =この前教えてもらった冬の大三角、まだ見えました=
 

 やっぱり反応はなかった。

 何かあったのだろうか。

 体調を崩した? それとも、私が何か変なことを言った?

 考えれば考えるほど、不安は膨らんでいく。

 SNSの画面を見つめながら、胸の奥が重く沈む。

 あの日、彼に打ち明けた言葉が頭の中で何度も反響した。

 ……やっぱり、あんなことを話すんじゃなかった。

 それでも、画面を閉じられなかった。

 もし、またあの名前で投稿が上がったら。

 もし、また短いメッセージが返ってきたら。


 そのわずかな可能性だけを頼りに、私は毎晩、同じページを開き続けていた。