サクライさんとがっつり目が合う。
 噛んで含めるように、サクライさんがゆっくりと聞く。

「橘君にとって、泉ちゃんは、どんな存在?」

 茶化してるとか、興味本位とか、そういう感じじゃなかった。
 静謐な微笑みの中、日本人にしてはちょっと薄い色味の瞳の中に、やけにはっきりと俺が映りこんでいる。
 
 サクライさんの中の自分と目が合った瞬間、ふっと、すごく自然な感じで、言葉が下りてきた。

「俺にとって泉は……」