「ポメ言うな。いろいろあって私は忙しいのだよ」
「いろいろ? 何それ、何かあんの?」
にたり、といかがわしげな笑みの泉に、まさか、と、ぎくりとなる。
「実はですなー」
「おおーい、たっちばなー。今日、文化祭の実行委員だよぉー」
校舎二階の窓がガラリと開いて、狭い窓枠から高梨たちがひょこひょこ顔を出して俺を呼ぶ。
そういや、今日は実行委員の日だった。すっかり忘れてた。
「あっれー、隣にいるの、いずねェさんだよねー! いずねェさーん」
河合が嬉しそうに手を振っている。そういや泉と同じクラスだっけ。
「お、マジだ。おーい、あのお悩み相談系のいずねェさんっすよねー」
それに高梨たちが便乗する。
いずねェさんって、あのAIユーチューバーのいずねェさんか? 名前しか似てねぇけど。と、考えていると、ちゃきっと、右目にピースを作った泉が叫びだした。
「やっほほーい! どんなお悩みもさくっと解決っ! みんな大好きいずねェさんだよぉ。さあて今日のお悩みはこちら♪」
「……」
「あはは~、いずねェさんかわい~」と河合たちが喜んでいる。
「似てねーぞ~」と高梨たちが笑う。
「おい、コラそこ、リクエストしといて突き放すな!!」
笑う高梨たちに怒りながら、やり切った顔の泉。
高校デビュー、失敗してんじゃねーか。
「相変わらずポメは人気もんだなー」
内側から沸々わき上がる笑いを必死にこらえて、感心顔を作った。
「ふっふっふ」
不敵に笑った泉は、中学の頃と変わらない。泉は泉だ。
「てか、イケメン橘友達またせてんぞ」と、泉が顎で促す。
「あ、そうだった。じゃ、ポメ、またなー」
「ポメいうなー」
軽く手を振った後、校舎に向かって走り出す。
足が妙に軽かった。
「いろいろ? 何それ、何かあんの?」
にたり、といかがわしげな笑みの泉に、まさか、と、ぎくりとなる。
「実はですなー」
「おおーい、たっちばなー。今日、文化祭の実行委員だよぉー」
校舎二階の窓がガラリと開いて、狭い窓枠から高梨たちがひょこひょこ顔を出して俺を呼ぶ。
そういや、今日は実行委員の日だった。すっかり忘れてた。
「あっれー、隣にいるの、いずねェさんだよねー! いずねェさーん」
河合が嬉しそうに手を振っている。そういや泉と同じクラスだっけ。
「お、マジだ。おーい、あのお悩み相談系のいずねェさんっすよねー」
それに高梨たちが便乗する。
いずねェさんって、あのAIユーチューバーのいずねェさんか? 名前しか似てねぇけど。と、考えていると、ちゃきっと、右目にピースを作った泉が叫びだした。
「やっほほーい! どんなお悩みもさくっと解決っ! みんな大好きいずねェさんだよぉ。さあて今日のお悩みはこちら♪」
「……」
「あはは~、いずねェさんかわい~」と河合たちが喜んでいる。
「似てねーぞ~」と高梨たちが笑う。
「おい、コラそこ、リクエストしといて突き放すな!!」
笑う高梨たちに怒りながら、やり切った顔の泉。
高校デビュー、失敗してんじゃねーか。
「相変わらずポメは人気もんだなー」
内側から沸々わき上がる笑いを必死にこらえて、感心顔を作った。
「ふっふっふ」
不敵に笑った泉は、中学の頃と変わらない。泉は泉だ。
「てか、イケメン橘友達またせてんぞ」と、泉が顎で促す。
「あ、そうだった。じゃ、ポメ、またなー」
「ポメいうなー」
軽く手を振った後、校舎に向かって走り出す。
足が妙に軽かった。



