翌日は、今年初の記録的酷暑日だった。
 放課後、サウナのロウリュウ並みの熱気の中を、ルンルンな足取りで自転車置き場に向かう泉が見えた。
 なんかちょっと、後ろ姿が女子っぽい。ウキウキしてて……。

 気になって追いかける。

「ポメ、何急いでんの?」
 いつもの間の後、泉がいつもの顔で振り返る。

「なんだ、イケメン橘か」
「なんだとはなんだ。ポメ」

「あっちぃ」と首元のシャツを仰ぎながら、周囲に誰かいないかそれとなく視線を巡らした。
 待ち合わせ、とかではなさそうだった。