小学校の6年間とは違い、中学の3年間はあっという間に過ぎ去って、気が付けば卒業していた。
いよいよ高校の入学式を目前に控えた春休み最後の日。
『彼女ができた!』と、直太からハイテンションの電話がかかって来た。
『相手、誰だと思う? なあ、なあ、誰だと思う?? お前も名前超知ってる女子だぞ。んでたぶん、意外過ぎてびっくりする女子』
「……まさか」
『なんと、藤原いとちゃんだぜー!!』
「あ、なんだ」
『あ、なんだとは、なんだ! 5回フラれ続けての恋愛成就! すげくね? なあ、すげくね?? やっぱり諦めなければ夢は叶うんだなー。ジャンプの主人公がよく言ってんもんなー』
「若干違くね?」と笑いながら「良かったな」と相槌を打つ。
泉じゃなくてよかった、と、微妙にホッとしている自分がいた。
『いやぁ、卒業式の後はみんなノスタルジーになるから、ワンチャン成功しやすいって話、あれホントだったんだなー』
「ああ、だから」
『おん?』
「あ、いや」
だから春休み中に、以前告白を断った女子から、やたらメッセが来たりしてたのか。
『そんでさ、そんでさー』
そこから浮かれまくりな直太の『いとちゃんの目がデカい』とか『いとちゃんの小っちゃいところが可愛い』とか『いとちゃんの存在がもう可愛い』とか、彼女自慢が延々続いた。
『そんでさー、いとちゃんの髪の毛、超さらっさらなんだぜ。てか、女子の髪ってめっちゃいい匂いすんのな。あ、この話知ってる? 女子ってさー、脈ありじゃない男子には、ぜってぇ髪触らせないんだってさー。つまり、好きな人と脈ありかどうか判断するときは、髪触ってみたら分かるんだぜーっつって、モテない兄ちゃんが言ってた。はっはっはー。オレは彼氏として、いとちゃんの髪の毛を触る権利を持っているのだ。どうだ、羨ましいだろー』
へぇー。ほぉ~。ふーん。と、薄い相槌を打ちながら、泉も誰かに告白されたりとか、したんかな。と、ちらっと思った。
『そんなこんなでオレら明日から高校生だな。お前とは学校違うけどいつまでも親友だから、なんかあったらいつでも駆けつけるぜ。つか、いとちゃんとも離れ離れなんだよなー。他校カップルは彼女が寂しがるっつーから頑張んねーと。てことで、お互い高校生活エンジョイしよーぜ。汐見にも諸々頑張れよ~って上から目線で言っといて~。じゃな~』
そうして春休みが終わり、俺たちは高校生になったのだった。
いよいよ高校の入学式を目前に控えた春休み最後の日。
『彼女ができた!』と、直太からハイテンションの電話がかかって来た。
『相手、誰だと思う? なあ、なあ、誰だと思う?? お前も名前超知ってる女子だぞ。んでたぶん、意外過ぎてびっくりする女子』
「……まさか」
『なんと、藤原いとちゃんだぜー!!』
「あ、なんだ」
『あ、なんだとは、なんだ! 5回フラれ続けての恋愛成就! すげくね? なあ、すげくね?? やっぱり諦めなければ夢は叶うんだなー。ジャンプの主人公がよく言ってんもんなー』
「若干違くね?」と笑いながら「良かったな」と相槌を打つ。
泉じゃなくてよかった、と、微妙にホッとしている自分がいた。
『いやぁ、卒業式の後はみんなノスタルジーになるから、ワンチャン成功しやすいって話、あれホントだったんだなー』
「ああ、だから」
『おん?』
「あ、いや」
だから春休み中に、以前告白を断った女子から、やたらメッセが来たりしてたのか。
『そんでさ、そんでさー』
そこから浮かれまくりな直太の『いとちゃんの目がデカい』とか『いとちゃんの小っちゃいところが可愛い』とか『いとちゃんの存在がもう可愛い』とか、彼女自慢が延々続いた。
『そんでさー、いとちゃんの髪の毛、超さらっさらなんだぜ。てか、女子の髪ってめっちゃいい匂いすんのな。あ、この話知ってる? 女子ってさー、脈ありじゃない男子には、ぜってぇ髪触らせないんだってさー。つまり、好きな人と脈ありかどうか判断するときは、髪触ってみたら分かるんだぜーっつって、モテない兄ちゃんが言ってた。はっはっはー。オレは彼氏として、いとちゃんの髪の毛を触る権利を持っているのだ。どうだ、羨ましいだろー』
へぇー。ほぉ~。ふーん。と、薄い相槌を打ちながら、泉も誰かに告白されたりとか、したんかな。と、ちらっと思った。
『そんなこんなでオレら明日から高校生だな。お前とは学校違うけどいつまでも親友だから、なんかあったらいつでも駆けつけるぜ。つか、いとちゃんとも離れ離れなんだよなー。他校カップルは彼女が寂しがるっつーから頑張んねーと。てことで、お互い高校生活エンジョイしよーぜ。汐見にも諸々頑張れよ~って上から目線で言っといて~。じゃな~』
そうして春休みが終わり、俺たちは高校生になったのだった。



