「?」
 はあ~~、マジなヤツか~、と、特大のため息を吐いた後、直太が頭を掻く。

「確かにお前みたいなモテ男子系とか彼女持ち系とか、女に困ってないヤツらは、マジで汐見を女子カウントしてないかもだけどさー、そうじゃないヤツらもいるぞ、絶対。確かに目立つくらい可愛いレベルじゃねーけど、汐見ってよく見りゃ地味に可愛いし、元気だし。結構狙ってるヤツいると思うぜ」

 ズキンっと、わけのわからない衝撃が心臓を貫いた。

「本人気づいてないから自分下げて顔芸に走ってるとこが残念だよなー。それが汐見だよなー」
 のんびりした口調で直太が付け加える。

「つか、逆に聞くけどいいの?」
「何が?」
「オレが汐見にコクっても」
「!!」

「まあ、オレは汐見見てっと、なんかこう、同族嫌悪的なやるせなさを感じるからアレだけどさ。例えば他の誰かが汐見にコクって、万一付き合うとかなったら、お前と汐見の関係性絶対変わるけど、それ、アリなん?」
「……」

 わからなかった。

 自分が泉に対して恋愛感情を抱いているとは思わない。
 だけど、今の関係性が崩れるのは嫌だと思った。
 
 泉が誰かとつきあうのを想像したら……微妙にもやっとした。