「酷くね? オレ、いとちゃんが『いと、前髪長い男子が好きなのぉ~』っつーから、野球部引退してから必死に前髪伸ばしたのにぃ~」
中3の春、直太は自分のクラスに転入してきた藤原いと、という女子に一目ぼれして、即座に告白し、あっさり玉砕した。その時、「前髪が長い男子が好き」とか言われたらしい。
そんで、夏の中体連で俺らの野球部が見事に一回戦敗退したあと、無に等しかった前髪を恐るべきスピードで眉毛らへんまで到達させ、満を持してもう一度コクってみたところ「タイプじゃない」とあっさりフラれたらしい。
「オレら部活も終わって受験まっしぐらじゃーん。カレカノで図書館デートとかしたいじゃーん」
「受験かぁ~。つか高校行ったら部活できないって思うと、やっぱちょっと寂しいよなぁ」
平々凡々な俺らは、高校生になると部活時間が介助実習に充てられる。これで野球ともお別れかと思うと、辛かった練習の日々が愛おしく思えてきた。
夢の甲子園は夢のまま。
泉が、もし中学でもバスケ続けてたら、高校でも部活の特待生に選ばれてたんじゃねーかな、と思うと、やっぱりもったいない気がする。
(そういや泉たち文化部は文化祭まで部活あるんだっけ。今年もあいつの絵だけ、ピカソなんだろーなぁ)
人一倍熱心に美術部活動に勤しんでいた泉は、驚くほど絵の才能がなかった。
文化祭の展示発表で毎年みんなに爆笑されていて、ちょっとした名物になっている。
「なーに、ニヤニヤしてんだよ。エロいぞ」
直太に指摘されて、頬が緩んでいたことに気づく。
「あ~あ、付き合おうと思えば付き合える奴はいいよなー、余裕があってさー」と、直太がため息を吐いた。
「つかさー、お前にコクる女子、みーんなめっさ可愛いのに、なんで付き合わねーの?」
「なんでって……めんどくさそうだから。朔とか隼人とか見てるとさ、毎日メッセのやり取りして、寝落ち電話して、放課後一緒に帰って、休日はデートしてとか、しんどそうじゃん」
野球部には彼女持ちが多い。
「それがいいんじゃんか~。オレ最近、モテなさ過ぎて性別女子なら誰でもよくなってきた~。ああ、禁断症状だこれー」
「お前は節操なさすぎ」
笑い飛ばしながら、ふと疑問がわく。
「直太さー」
「おん?」
「いや……お前って、女子と挨拶交わしただけで好きになるよな?」
「それはいくらなんでもいいすぎだぞ!……まあ、近いものはあるが」
「なら泉は? やっぱ他の奴らと同じく女子にカウントされないってやつ?」
「は?」
心底驚いた顔で、直太が俺をまじまじと見てくる。
「お前それ、マジで言ってんの?」
中3の春、直太は自分のクラスに転入してきた藤原いと、という女子に一目ぼれして、即座に告白し、あっさり玉砕した。その時、「前髪が長い男子が好き」とか言われたらしい。
そんで、夏の中体連で俺らの野球部が見事に一回戦敗退したあと、無に等しかった前髪を恐るべきスピードで眉毛らへんまで到達させ、満を持してもう一度コクってみたところ「タイプじゃない」とあっさりフラれたらしい。
「オレら部活も終わって受験まっしぐらじゃーん。カレカノで図書館デートとかしたいじゃーん」
「受験かぁ~。つか高校行ったら部活できないって思うと、やっぱちょっと寂しいよなぁ」
平々凡々な俺らは、高校生になると部活時間が介助実習に充てられる。これで野球ともお別れかと思うと、辛かった練習の日々が愛おしく思えてきた。
夢の甲子園は夢のまま。
泉が、もし中学でもバスケ続けてたら、高校でも部活の特待生に選ばれてたんじゃねーかな、と思うと、やっぱりもったいない気がする。
(そういや泉たち文化部は文化祭まで部活あるんだっけ。今年もあいつの絵だけ、ピカソなんだろーなぁ)
人一倍熱心に美術部活動に勤しんでいた泉は、驚くほど絵の才能がなかった。
文化祭の展示発表で毎年みんなに爆笑されていて、ちょっとした名物になっている。
「なーに、ニヤニヤしてんだよ。エロいぞ」
直太に指摘されて、頬が緩んでいたことに気づく。
「あ~あ、付き合おうと思えば付き合える奴はいいよなー、余裕があってさー」と、直太がため息を吐いた。
「つかさー、お前にコクる女子、みーんなめっさ可愛いのに、なんで付き合わねーの?」
「なんでって……めんどくさそうだから。朔とか隼人とか見てるとさ、毎日メッセのやり取りして、寝落ち電話して、放課後一緒に帰って、休日はデートしてとか、しんどそうじゃん」
野球部には彼女持ちが多い。
「それがいいんじゃんか~。オレ最近、モテなさ過ぎて性別女子なら誰でもよくなってきた~。ああ、禁断症状だこれー」
「お前は節操なさすぎ」
笑い飛ばしながら、ふと疑問がわく。
「直太さー」
「おん?」
「いや……お前って、女子と挨拶交わしただけで好きになるよな?」
「それはいくらなんでもいいすぎだぞ!……まあ、近いものはあるが」
「なら泉は? やっぱ他の奴らと同じく女子にカウントされないってやつ?」
「は?」
心底驚いた顔で、直太が俺をまじまじと見てくる。
「お前それ、マジで言ってんの?」



