長い人生を経て思うのだけれど、やっぱり十代の頃の恋は、とてもとても特別です。
 複雑で、繊細で、純粋で、永遠に色あせない宝石みたいにいつまでも心の中でキラキラ輝いている。

 二十代以降の恋とは違う、愛しい切なさがあります。

 だから私ね、十代の恋は全て初恋だと思うの。
 そして恐ろしいことに、不完全燃焼の初恋は永久にこじれてしまうのです。

 私が野球部君の名前を忘れられたのは、「ごめん」という答えをきちんと貰えたからです。
 私がコウタ君のことをいつまでも忘れられないのは、結果はどうであれ、答えをちゃんと聞かなかったからなのよね。

 好きな人が自分のことをどう思っているのか、知るのはとても怖いことです。
 自分が相手とつりあわないと思っている場合は特にね。

 でも、つりあうかつりあわないかは、相手が決めること。
 それに、自分の容姿って自分が思っているほど悪くないものなのよ。