ところが通学電車の密かな楽しみも、すぐに終わりを迎えてしまった。

 カナエの通う高校は進学校で、早朝学習が始まると同時に授業時間も長くなった。
 放課後の補習もあり、カナエは朝も帰りもコウタ君の乗る電車に間に合わなくなってしまったのだ。

 そうしてコウタ君に会えない灰色の高校生活を送って、あっという間に1年が過ぎた頃、友達から衝撃の情報がもたらされたのである。

「カナエの友達のカッコイイ男子さ、あたしの中学の同級生とつきあいだしたみたいだよー」

 固まるカナエに、友達は首を傾げて付け加えた。

「その子、普通なんだよね。なんかちょっと意外だったかも」