「うわぁ……私だったらしばらく、いや、永遠に立ち直れないかも……」

「ふふ。私もね、フラれる前提で告白したはずなのに……ワンチャンって言うのかしらね。やっぱり心のどこかで期待してたのよね。それくらいの仲の良さはあったの。だから『ごめん』って言われたとき、『やっぱりなぁ』って思いながらも目の前がさぁ~って暗くなって、心臓がこう、ぎゅーーって絞られるみたいに苦しくなってね」

「うー。……しかも野球部君と同クラ、同じクラスじゃなかったでしたっけ?」

「そう、問題はそこなのよね。私、その時、告白するなら今しかないって、それしか頭になかったのね。それでその後のことを全く考えていなかったの。私、昔っから後先考えずに突っ走るところがあったのねぇ。泉ちゃんの言う通り、告白した次の日ももちろん学校があって、朝になってすごくすごく気まずいことに気づいたの。本当に、絶望的に落ち込んで、仮病使って学校休もうかしらと思ったくらい。でもほら、ずっと休み続けるわけにもいかないじゃない? ここで休んだらもっと気まずくなるかもしれないって思って、えいって気合入れて学校に行ったの。そしたら野球部君『おはよ』って普通に挨拶してくれてね。そのあともこれまで通り、普通に友達として接してくれたの。それで私、ああ、やっぱり野球部君は、かっこいいなぁって、ますます好きになっちゃったのよねぇ」

「あ、それ」
「ん?」
「あ、えっと……その野球部君、知り合いにちょっと似てるなって」

 知り合いとはもちろん橘だ。