アカトンボが空を舞い、稲穂の匂いの秋風が心地良く吹いていた。
「野球部君が、同じクラスのアイちゃんを好きなことは知っていたの。二人、とても仲が良かったし、はたから見ててもすごくお似合いだったわ。アイちゃん、とってもかわいい子でね。いつも羨ましいなぁ、あんな風に可愛く生まれたかったなぁって思いながら、二人がじゃれあうところを見つめていたの。あら、私アイちゃんの名前は憶えているのね」
ふふっと笑って、懐かしそうに、桜井さんが目を細める。
アイちゃんは明るく元気で可愛くて、クラスの人気者だった。
カナエも大好きな女子だった。
もしかしたら既に二人は付き合っているかもしれないと思ったけれど。
「それでも気持ちを伝えるには今しかないって思って、すごく勇気を出して告白したのよね」
「え? 対面でコクったんですか? SNSとかじゃなくて?」
「私が中学生の頃は、スマホはおろか携帯電話すら、まだ世の中に普及していなかったのよ」
「あ、なるほど」
時代とは言え、対面告白とは恐れ入る。
今告白って言ったら、私の周りじゃほぼ100%SNSだ。
しかも大抵匂わせ告白だから、断られる心配もない。
「野球部君が、同じクラスのアイちゃんを好きなことは知っていたの。二人、とても仲が良かったし、はたから見ててもすごくお似合いだったわ。アイちゃん、とってもかわいい子でね。いつも羨ましいなぁ、あんな風に可愛く生まれたかったなぁって思いながら、二人がじゃれあうところを見つめていたの。あら、私アイちゃんの名前は憶えているのね」
ふふっと笑って、懐かしそうに、桜井さんが目を細める。
アイちゃんは明るく元気で可愛くて、クラスの人気者だった。
カナエも大好きな女子だった。
もしかしたら既に二人は付き合っているかもしれないと思ったけれど。
「それでも気持ちを伝えるには今しかないって思って、すごく勇気を出して告白したのよね」
「え? 対面でコクったんですか? SNSとかじゃなくて?」
「私が中学生の頃は、スマホはおろか携帯電話すら、まだ世の中に普及していなかったのよ」
「あ、なるほど」
時代とは言え、対面告白とは恐れ入る。
今告白って言ったら、私の周りじゃほぼ100%SNSだ。
しかも大抵匂わせ告白だから、断られる心配もない。



