次の日の昼休み。
結局また、イナとマサキと松本先輩の三人でご飯を食べている

「……あの」
マサキが口を開いた。

「イナが昨日、大変な目にあったから。もう来ないでもらえますか?」

真っ直ぐな言葉。

「今日はちゃんと自分のお弁当持ってきたから安心してよ」
松本はいつものキラキラ笑顔でマサキの言葉をさらりとかわしてしまう。
人の気持ちを受け止めながらも、まったく動じない。



そのとき、イナのスマホが震えた。

画面に表示された名前を見て、松本先輩が首をかしげる。
「出なくていいの?」

イナは思わずスマホをおいた。
画面には、はっきりと——倉田先生の名前。

「先生からだけど、でなくて大丈夫?でも先生!?」
松本先輩が驚いた顔をする。

「だ、大丈夫です」
イナは下を向いて、声を絞り出した。



少しの沈黙のあと、松本先輩がぽつりとつぶやいた。

「僕たち……似てるね」

「へ?」
顔を上げたイナの目に映ったのは、まっすぐな光を宿した松本先輩の瞳。

その一瞬、胸が強く跳ねた。

……と、同時に。

校舎の窓に人影。
窓中に女子がいて
こちらをじっと見下ろしていた。

「……あ、あぁ」
イナは引きつった笑みを浮かべ、苦笑いでごまかすしかなかった。

「はっ、はは。似てますね‥」