冷酷社長の極上笑顔は私が独り占めさせていただきます

「だからって、いきなり大盤振る舞いする必要ありますか?」
「意見があるならはっきり言えばいい」

 私は社長のスーツの二の腕付近をつかんで軽く引っ張った。
 彼は思ったより簡単に私のほうについてきてくれる。
 社長室の戸口から離れ、書類棚の角まで彼を引っ張ってくると、私は上目遣いで睨む。

「社長の笑顔は、破壊力がありすぎるので、小出しにしていただきたいです」
「ほう。どれくらいの頻度だ?」
「そ、それは……」

 社長の笑顔を初めて見た日のことを思い出す。
 あれ以来ずっと「次はいつ笑顔を見られるのだろう」とか「やっぱり夢だったのかな」とか、彼を見るたび笑顔を見られないかとそればかり期待していたような……。
 それでだんだん社長のことが気になって仕方なくて、気がつけばいつの間にか好きに――。
 
「ダメ! 絶対!!」
 
「突然どうした?」

 社長が私のことを心配そうに見下ろす。