朝7時。マンションを出てから、今日が燃えるゴミの日だったことに気づく。やばっ。急いで引き返す。
着いたエレベーターに慌てて乗り込む。
降りる人と、すれ違う瞬間、ふわっていい匂いがした。なんか、チャラい人。ホストみたいな。あんまホストのことよく知らないけど。ぼーっと見つめていたら、一瞬横顔が見えて、ドキッとした。
 佑月くんに、すごく似てた。
 エレベーターの扉が閉じる。
 一瞬だったから、あんまよく見えなかったけど。雰囲気すごい似てたな~…。でも、金髪だったから違うよなあ。佑月くん今茶髪だし。
 その夜、ご飯を食べながら、スマホをいじっていると、インスタの通知がきた。開くと、今日もW/Uがインスタライブをやっていた。今日は、佑月くんと、亮ちゃんの2人。佑月くんいる、ラッキー。
 「みんなおつかれ~」亮ちゃんがスマホでコメントを見ながら、手を振る。「あーすごい、もう3万人見てる。」
 「今日みんな仕事だったの~?急にインスタライブしてごめんね。」佑月くんが言う。
 「『佑月くん彼氏みたい。リアコ。』ってコメント来てるで」
 「ありがとう。」
 「ありがとうって笑 『なんで帽子被ってんの~?』って言われてるよ、ほら。」
 亮ちゃんが、佑月くんが被ってるキャップの唾をちょんちょんってする。
 「あ、これ?」
 佑月くんが、バッてキャップを取る。「見て見て~髪染めたんだ~!」
佑月くんが前髪をかき分けて、手櫛で整えながら言う。
 私は、食べていた米を口からボロって落とした。
 「金髪……」
 朝すれ違った金髪の男の人を思い出す。
 「ここまで佑月が髪明るくすんの珍しくない?」
 「えほんとに久しぶり!」
 佑月くんが画面で自分の髪色を確認する。
 ”佑月くん新しい役!?”
 ”もしかしてドラマやるの~??”
 コメント欄は大騒ぎしている。
 「ちょっとまあ、30なる前に金髪やっとこっかなって思って。遊べるうちに遊んどかないと。笑」
 「事務所の許可取ってんのそれは。」
 「取った取った。」
 「そしたら?」
 「あ、いいですよ~。って。うちのマネージャーが。」