「もうあんな近い席当たることないよ。人生で一番いい席だったなあ……。しかも、ファンサもらった。」
 「まじで?」
 「佑月くんが、自分の頭指さして、『かわいい』って」
 「え―――――…」
 「私!?ってなってたら、『うんうん』って……」
 「まじで!?」
奈緒ちゃんが、ビールのジョッキをドン!って机に置く。
 「可愛い、ってやばい。さすがリアコだ」
 「だよねえ!もうそんなことされたらさあ…」
 ライブからかれこれ一週間、私は未だにライブの余韻が抜けきれずにいた。
 「はあ~もう本当にどうしよ、佑月くんのことしか考えられない…。佑月くん……」
 「だめだこりゃ」
 奈緒ちゃんが笑う。
 「佑月くんって彼女いるのかなあ」
 「彼女!?さあ〜。まあいるでしょ」
 「いるよな〜。まあそれはそれでメロい」
 「拗らせすぎでしょ」