「佑月くんかっこよかった………。めっちゃ席が近かったの、佑月くんが、そこに、いたの。」
 ちょうど、この席から、厨房くらい。うん、ちょうどこの距離。厨房にいる店員さんをぼんやり見る。店員さんは、こちらに気が付き、何かいけないものを見てしまったかのように目を逸らす。
 奈緒ちゃんが、始まった、とばかりに適当に相槌を打って、ビールを飲む。
 奈緒ちゃんとは、中学からの親友で、推しているグループは違えど、オタクの話を分かり合えるオタク友達。社会人になってもたまにこうして会う。大学の時は、授業切って一緒にライブ行ったりもした。永遠にくだらない話を一緒にできる貴重な存在である。