凛side
ベランダに出て、夜空を見上げる。
無数に煌めく星のなかで白く美しく輝く月。
一度は地上に降りてきた月。
でもやっぱり元いたところに戻っちゃった。
そしてやっぱりそこがあなたが一番輝ける場所。いるべきところ。
佑月くんは、いつまでもそこで輝いていて。
私はこれからもここにいる。
佑月くんとの思い出を、これからの人生の灯火に変えて、頑張って生きていきます。
月の裏側は、地球からは決して見えない。
私たちが見ているのは、いつでも月の表。
ちらっと見えた月の裏側は、普段見ていた通りだった。黒かったり、歪だったりするのかと思っていたけど、そんなことはなかった。
等身大の、男の子。
人の愛し方をよく知っていて、人の輪を広げるのが上手な男の子だった。
地球からは決して見えない月の裏側。
もう二度と見ることはないんだろう
空の月を見上げる。
どうかいつまでもそこで輝いていて。
そこから私を照らしていてね。
Fin.



