凛side


課長が変わり、部署の雰囲気が一変した。


お昼を食べていても、前みたいに話しかけてくれる課長はもういない。
代わりにいるのは、ぶっきらぼうで口数が少なく、オマケに——。


『新しい課長、パワハラで今まで部下を3人辞めさせたことあるらしいよ。』
この前の同期の飲み会で誰かが言っていたっけ。


「宮部、」
お弁当を食べていると前に座る課長に声をかけられる。
「はい。」
「お前のメールの文章酷いな。本当に5年目か?使えない。今まで何を教わって来たんだ。前の上司がよっぽど教えるのが下手だったのか、お前の吸収力が悪いのかどっちだろうな。どっちもか。早く修正して送れ。」

チッチッチッ。なんだコイツ。
腹の中で舌打ちをする。

昼休みになんの断りもせず仕事の話を持ちかけてきただけでも嫌なのに、おまけに前の課長まで否定された。
あの課長を悪く言う人に良い人はいない。これは私がこの職場で数年間働いてきた中で得た知見のひとつである。

この瞬間私の中で、“この男の喋ること真に受ける必要なし。”の印がその顔面に押された。