社長室を出て、ドアを閉める。
マネージャーが、壁にもたれかかりずり落ちる。「つ、疲れた……俺の寿命縮むわ……。」
「もうお前はいちいち泣くな。」さっきからグスグス泣いている眞鍋の頭をわしゃわしゃ撫でる。
「ヒーローは遅れて登場すると言いますからなぁ。」
亮が俺を見る。
「別に何もしてないよ。」
「佑月が頭下げるなんて、初めてちゃう。」
「そりゃ、シャッチョさんの前だったらさぁ……。」
「ふーん。ほーん。」亮が俺の顔を覗き込む。
「なんだよ。」
「誰の前だって、佑月が誰かのために頭下げたことあったか?」
ないか。ないなぁ。
亮がずっとにやにやしている。
眞鍋は泣いている。
マネージャーは魂が抜けたみたいに口をずっと半開きにしている。



