推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜

佑月side


「俺からダンスを取ったら何が残るんだろう。」
ひとしきり泣いた後、眞鍋がポツリと呟く。


俺は、指を折りながら言う。「ひたむきさ、努力家、がむしゃら、素直……。」
ってこれ、全部ダンスをしてる時の眞鍋か……。
ダンスをしているときの眞鍋は、本当に活き活きしていた。

「ファンの子の喜ぶ顔が誰よりも好き。」
亮が小指を折りながら言う。
眞鍋が亮を見る。
「やろ?」亮が微笑む。


たしかに、ステージに立つ眞鍋の目は、誰よりも輝いていた。


眞鍋が頷く。


「アイドルとしてじゃなくても、その景色をこれからも見る方法はあるんちゃうかな。」亮が言う。
「眞鍋は、どうしたい?」

「俺は、これからもみんなと一緒に居たい……。もし、踊れなくても。みんなのことを一番近くで見ていたい。」

俺は、しばらくそのやりとりを呆然と見ていた。

そうか、と思いつく。