推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜


「俺、巧が佑月と一緒じゃないとやらないって言った時、ほんまに嬉しかったなぁ。」
「佑月さんを差し置いて俺だけデビューなんて、したくなかった。」
それに、と巧が付け加える。
「この2人は絶対に引き離しちゃいけないと思った。」

「あかん。」
込み上げてくるものをぐっと堪える。
「あかん。泣きそうや。」

「えっ。」巧が驚いて俺を見る。
「なんで!?」

「巧ありがとう。」
「泣いてる!?」

「巧が、俺と佑月を繋いでくれた。お前がおらんかったら今頃、どうなっていたことか。」

「なんも変わってないっすよ。佑月さんと亮さんは俺が居なくてもきっと、一緒にステージに立ってましたよ。」

「どうやろ。」

俺は、あの時一瞬だけど、佑月を置いて自分だけデビューしようとした。

お前が、運命を変えてくれたんだ。
あの日、彗星の如く俺らの前に現れたお前が、俺と佑月の運命を変えてくれたんだよ。

本当に感謝してる。