そうしてある日、俺は当時のマネージャーに呼び出された。俺は23歳になっていた。周りの友達は就職し、社会人2年目。焦りがなかったかと言われれば嘘になる。


部屋に行くとそこには事務所の偉い人と、大樹と、巧と、姫希と、眞鍋がいた。


俺らに手渡された紙には、W/U(ウィズユー)と書かれていた。
新しく結成するグループの名前らしかった。
そのグループ名の下には、俺を含む5人の名前。
そこに、佑月の名前は無かった。
5人の名前の先頭には巧の名前。
なるほど、うちの事務所は、巧を中心としたグループを作ろうとしてるんだ。そこに、俺ら4人が選ばれた。

これはきっと、年齢的に俺にとって最後のチャンス。
5年前だったら、俺は佑月が居ないなら嫌だと言えていた。けど、今はもう、これを逃したら、次いつチャンスが回ってくるかわからない。
もしかしたら、もう二度とこんなチャンス来ないかもしれない。

そう思うと、怖くて言えなかった。


『30までにデビューできなかったらさ、2人で事務所辞めてユニット組もうや。』

あの日のことを思い出す。

佑月……俺どうしたらいい……。