また別の日。
「デビューしないかって声かけられたよ」
佑月の背中に言う。
「黙っててごめん。」
佑月は「あ、そう。」とだけ言った。
「断った。」
「……は?」
佑月が振り返る。
「俺は、佑月と一緒じゃなきゃ嫌や。」
「何言ってんだよ、今すぐ頭下げて撤回してこい!」
佑月が俺の肩を揺さぶる。
「嫌。」
フフって笑うと、佑月がその場にへたり込んだ。
なんでお前がへたり込んでんねん。
「なあ、」
佑月に語り掛ける。
「30までにデビューできなかったらさ、2人で事務所辞めてユニット組もうや。」
「何言ってんだよ。」
「俺、佑月とやったらできそうな気がすんねん。」
俺は本当にそう思ってた。当時、俺と佑月は19歳。大学2年生だった。若気の至り?というやつ?
「そんなジジイになってまでやるかよこんなこと。」
佑月は憎まれ口を叩きながらも、嬉しそうだった。



