「応援してくれてる人だっていますよ」
巧を見る。巧が、ハハッて笑って俺を見る。「昔、佑月さんが俺にかけてくれて、俺が救われた言葉です。」
「俺そんなこと言ったっけ?」
「言った言った。」
それから、巧が脇に置いていた紙袋を持ち上げて、ひっくり返す。ザァーって大量のファンレターが床にぶちまけられる。
「ちょっ、何して……。」
「これも、佑月さんが俺にしてくれたことっす。」
「俺こんなことした?」
「え〜、それも忘れちゃったんですか。」巧が言う。
「ま、いっか。とにかく佑月さん宛に届いていたファンレター持って来ました。」
「そんな、どうせ、今読んだところで、俺の悪口しか書かれてないよ。」
「いや?そうでもなかったっすよ。」
「えっ?」巧を見る。
「えっ?」巧が何個か手紙を拾いあげていく。
「読んだの?これ?全部」
「いや、全部じゃないっすけど。あ、勝手に見てすみません。でも、佑月さんがジメジメメソメソしてるだろうと思ったから……。」
「メソメソはしてねえよ。」
「そうでしたね。これとかこれとか、あとこれも。」
巧が、ホイホイと俺の手にファンレターを乗せていく。



