佑月side


キッチンでぐつぐつ、鍋の煮える音。リビングから凛の横顔が見える。
凛の元気がない。


SNSは、今日1日、アイドルの熱愛で話題は持ちきりだ。


凛のそばに寄り、凛を後ろから抱きしめる。


「ん~良い匂い~」
立ち込める湯気を吸いこむ。


凛のほっぺをぷに、と掴む。むう、って顔になる凛。
「ひゃにふんの」


凛の元気がない。
「このままアイドル辞めちゃおうか?」


凛が目を大きく広げて、「え……」ってショックを受けた顔をする。


「ごめん、冗談です」

リビングに戻ろうとすると、俺の腕を凛が掴む。

「佑月くん、アイドル辞めないで」
「ごめん、だから冗談……」
「絶対に、アイドル辞めちゃ嫌。」
「……はい」