佑月side
控え室。
亮とふたり。
「ねぇ、なんでだと思う?」
「さぁ」亮が控え室に並べられた雑誌を読みながら首を傾げる。
「凛は、なんで急に機嫌が直ったんだと思う?」
「知らんわ!本人に聞けよ」
「そりゃ、佑月くんのことをかっこいいと思ったんでしょ」
亮と俺の間からひょっこり顔を出す姫希。
「うわびっくりした」
いつからいたんだ。
「凛ちゃんは、最初、佑月くんが日にちごと忘れてるって思って悲しかったんじゃない?」
姫希が俺の隣に座って、ケータリングをモグモグしている。
「だけど、そうじゃなくて、佑月くんが自分のことを忘れたのが、アイドルのスイッチが入った瞬間だって分かったから、それで納得したんじゃないのかな」
「お前……エスパーか」
「んなことは誰だって分かるわ!」亮が言う。
「で、凛ちゃんになんて言われたの?」姫希が興味津々な目で俺を見る。
「え、『好き』って……」
クゥーって亮が天を仰いで、姫希が机に突っ伏す。



