相席居酒屋なるものに初めて足を踏み入れた。
数分ごとに、向かいに座る男の人が入れ替わる。今回入れ替わりで入ってきた人は、20代後半だろうか。今までの人たちと雰囲気が少し違う。落ち着いた雰囲気を身にまとっていて、スーツをパリッと着こなして、聡明そうな印象をうけた。
「結構かっこいいし、頭も良さそうじゃん、当たり♪」
奈緒ちゃんが私に耳打ちする。


「好きなタイプとかいるの?」
1人が、私に聞いてきた。
「好きなタイプ……。」
佑月くんの顔が思い浮かぶ。
「優しくて、最年長でありながら、クソガキ……。」
「クソガキ……?」
一体なんの話?男の人同士が顔を見合わせる。


ボロ……ッ、って涙が溢れる。


隣で奈緒ちゃんが、「ダメだあこりゃ。」とため息をつき、「すみません帰りまーす!」と私の手を引き店を出る。