それから、佑月くんが一瞬真顔になって、私の髪に手を伸ばす。私の髪飾りに触れる。あの日もつけていた、青い髪飾り。
 「——俺の色。可愛いね」
 佑月くんが微笑む。
 息が、とまる。
 1週間前、ライブで見た景色がフラッシュバックする。あの時も十分近かったのに、今日はそれよりもっと近い距離。鼓動が、早くなる。
 佑月くんが、私の家の表札を見る。
 「502……?あ、俺部屋間違えた」
 壁に寄りかかっていた佑月くんが体を起こす。
 「じゃあお隣さんだ」
 「え?」
 「俺、501」
 佑月くんが、くしゃって笑った。
 「よろしく、期間限定お隣さん。」

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