「……ありがとう。助けてくれて、ほんとに」 「……別に。ああいうの、見てらんねーだけ」 それでも、チョコをわざわざ持ってたのは、きっと偶然なんかじゃない。 彼の手からそれを受け取ると、心の中が少しだけ温かくなった気がした。 楓は再び前を向き、金属扉に手をかける。 「……戻るぞ」 「うん」 屋上の扉が閉まり、私たちの姿が校舎の中に消えた。 でも、心の中には、さっき見た青い空と、少しだけ笑った彼の顔が、ずっと残っていた。